お歯黒は女性の風習と思われがちですが、男性でもお歯黒をしていた時代があります。
男性のお歯黒は鳥羽院の時代からというのが定説になっています。
鳥羽上皇が虫歯で歯が悪く人と話すことを嫌がったので、困った家来たちがみんなでお歯黒をして、 「私たちもこのように歯が悪く黒いのです。」と訴え、話をしてもらうようにお願いしたのがその発祥であるという説があります。
このようにお歯黒は公卿から生まれ高い地位の象徴ともなり、のちに平家が台頭してくると平家の武将たちもお歯黒をするようになりました。
戦国時代になると武士の気風と合わないためか次第にお歯黒はなくなっていきますが、今川義元、北条早雲らの一部の武士はお歯黒をし続けました。
白は色を変えられるが黒は変えられない意から「武士は二君に仕えず」という決意と誓いを示したのです。
合戦で首をとったときに、地位の高い武将の首であると偽るために首の歯にお歯黒をつけたというエピソードもあるようです。
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